2009/02/15

ベンジャミン・バトン

ブラッド・ピット主演の映画「ベンジャミン・バトン」を観てきた。
昔から「時空を越えた恋愛もの」が大好きなので、CMを見て「これは見逃せない!」と思っていたのだ。
老人の姿で生まれたベンジャミンは年をとるごとに若返っていく。
その中で様々な出会いがあり、そして死んでいく。
「経過が違うだけで最後は誰もが同じ道を辿る」。
そんなことを、アイデアに満ちた映像で綴られた素敵な映画だった。

第1次世界大戦終結時のニューオーリンズ。
生まれてすぐ、その奇怪な風貌にために捨てられてしまうベンジャミン。
それを拾ったのは老人ホームで働く黒人女性。
彼女の愛に満ちたポジティヴな考えに支えられてベンジャミンは成長する。
老人ホームという、老いが不自然でない場所で育つアイデアは面白いと思った。

思春期が訪れ(といってもまだおじいさん→おじさん)自立して船乗りになり、ロシアに赴くベンジャミン。
この時代の彼のルックスがまるで「ラスト・タンゴ・イン・パリ」のマーロン・ブランドみたいでダサカッコイイんだよなあ。


この時出会って恋に落ちた女性が語るエピソードが、のちのシーンの布石になっているのも良かった(なぜか大泣きしました)。

ベンジャミンの幼なじみで恋人役のケイト・ブランシェットの美しさにも眼を見張った。
なんだかタイミングが合わずにすれ違いになる2人。
と、この辺で私は「あれ?これってなんとなく“フォレスト・ガンプ”に似てない?」と思ったのだけど、あとで調べたら脚本家が同じだった。どうりでね〜。

この映画はおばあさんになった彼女が病院のベッドで思い出を振り返るシーンで始まる。
「時空を越えた恋愛もの」もそうだけど、おばあさんが昔を思い起こす映画にも弱いのだ(シザーハンズやタイタニック等)。
ハリウッドの老人メイクの完璧さにも驚き!大体は老人に扮したときにメイクの粗さで覚めてしまうものだけど、これってホントにケイト・ブランシェット?っていうぐらい
ベンジャミンの老人(=幼年)時代なんてどうやって撮ったんだろう?と思ったら、別の俳優の身体演技とブラピの表情を組み合わせているそう。すごいなあ。
17歳ぐらいのベンジャミンのハンサムさ加減には卒倒しそうだった。おそらくブラピ本人の17歳時代よりハンサムだと思う(笑)。

現代のシーンではハリケーンが近付いている設定になっていたが、これが何を意味しているか日本人の私は分からなかったが、南部を襲った「カトリーナ」がまさに進行形で描かれていたのだ。
そしてラストシーンへと繋がっていく。あっけないかもしれないけれど、それが人生。
ベンジャミンのお母さんがこんなことを言う。
「ひとはみんな生まれて死んでいく。その辿り着く道が違うだけ」
仏教でいう「諸行無常」を、この映画から感じた。

途中から「あ〜、フォレスト・ガンプだなあ」と思ってしまってイマイチ入り込めなくなってしまったが、映画としては面白かった。一生を描くのでいろいろ詰 め込みたい気持ちも分かるけど、エピソードが細切れな印象だったのがちょっと残念(ここもフォレストガンプに似ている)。

監督のデヴィッド・フィンチャーの映像マジックが楽しめたのは良かった。雷に7回打たれた人の話がお約束ギャグのように何度も登場するのが可笑しくて、つい期待してしまった。
映画が始まる前の配給会社のロゴでは、ボタンが降ってきてワーナーとパラマウントのロゴになるんだけど、その「ボタン」がストーリーに関連するものだったことが途中で分かったり、遊び心がちりばめられている。

ケイト・ブランシェットは「エリザベス」の印象が強いのだけど、なんと!ボブ・ディランの半生を数人の役者で演じたというユニークな映画に、ボブ・ディラン役で出ている!!エリザベスがボブ・ディランって!!!すごいな〜。今後も楽しみな女優さんです。

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