2009/03/19

号泣する人

祝日前だというのに相変わらず仕事が忙しく、今日も遅い時間の地下鉄に飛び乗る。
こんな時間でも結構混んでいる都心のメトロで音楽を聴きながらボーッとしていると、隣りに立つ30代とおぼしきサラリーマンがすごい勢いで鼻をかみ始めた。花粉症なのかな?と思っていると、なんだか足下がおぼつかない様子で、身体がぐにゃぐにゃしている。
飲み会の帰りなのかな?とふと顔を見ると…

なんと、号泣しているではないか!

声を殺し、肩を震わせて、溢れる涙を拭おうともせず、その姿はまるで甲子園で破れた高校球児のよう。電車の中で泣いている女子はたまに見かけるが(そういう私もたまに泣く)あれが男泣きというものなのか。
赤の他人の男性が私の隣りで真っ直ぐ立っていられないほど泣いている姿などそうそう見られるものでもないので、しげしげと眺めてしまった。その時聴いていたPUPAをHOSONO HOUSEに変えたらさらにしっくりきた(何やってんだオレ)。

細野さんは歌う。
「お前の中で雨が降れば僕は傘を閉じて濡れてゆけるかな」
イヤ、私は一緒に濡れてはゆけないが、きっとそういう人がこの世の中に絶対いるはず。
などと「恋は桃色」を例えにしても普通の人には通じないこのはがゆさ。

年々オバチャン化している私は気が気ではなく、ティッシュをあげようか、はたまた今ならハンカチもあるよ?などと様子を伺っているうちに乗換えの駅に着いてしまった。
改札を出るとその人は私と同じ方向へと向かった。
歩いている姿も倒れそうになるくらいヨタヨタで、まるでオーバーアクションの演劇のよう。
ここまでの状態になるって、一体彼にどんな衝撃的な慟哭があったというのだろう。
頭を冷やすためかトイレに入ってしまったのでその後どうなったのかは分からないが、どうか無事に家までたどり着けますよう。
そしてどうか神様、彼が元気になれますように。

HOSONO HOUSEHOSONO HOUSE
細野晴臣


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

0 件のコメント:

rakuten