さらば、キンカ堂

日本航空が潰れるこの時代、今やちょっとやそっとのことでは驚かなくなったが、キンカ堂の倒産はかなりの衝撃を受けた。
キンカ堂とは池袋にある布地や手芸洋品、衣料を扱うお店で、私が東京に来た頃からある老舗だ。ユニクロなんてない時代、安くて実用的な服はキンカ堂で買っていた。

母に倒産のことを話すと
「うそぉ！うそ〜！うっそぉ〜〜！」
と三段階で驚かれた。それくらい池袋近辺住民にとっては「いつもそばにあるのが当たり前、無くなるはずがない」存在だったのだ。
母は現在のキンカ堂が気になったらしく、実際見に行ってきたらしい。
「あんたも見に行ったほうがいいよ」
と言うので今日寄ってみたら、固く下ろされたシャッターの前に人だかりが出来ていた。
見ると、シャッターには突然の閉店を惜しむ愛用客からのメッセージがたくさん貼られていた。

「課題でお世話になりました」という服飾科と思われる学生さんや、達筆の年配のかた、そして「コスプレ製作でよく利用した」というアキバっ子まで、たくさんの人が「戻ってきて！」というメッセージを書き込んでいた。

ちょっとウルッときたよ…。